フィブラストスプレーは何に効く?2026年の薬価・副作用・250と500の違いを徹底解説
フィブラストスプレーは、床ずれ(褥瘡)や皮膚潰瘍など、治りにくい傷の治癒を促進する医療用医薬品です。有効成分はトラフェルミン(遺伝子組換え)。細胞の増殖や新しい血管の形成に関わる「bFGF」という成長因子の働きを利用し、傷を修復するための組織づくりを促します。
ただし、すべての傷ややけどに使えるわけではありません。使用できる傷の種類、250と500の違い、2026年4月改定後の薬価、副作用、悪性腫瘍に関する禁忌など、処方前に知っておきたいポイントがあります。科研製薬の製品情報、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の電子添文、厚生労働省の薬価情報をもとに、フィブラストスプレーの効果と注意点を整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 効果:褥瘡、熱傷潰瘍、下腿潰瘍などの治癒を促進する処方薬。傷の状態に応じた治療が必要。
- 250と500の違い:有効成分の総量と溶解液の量が異なる。溶解後の濃度は同じで、500のほうが単純に濃い薬というわけではない。
- 薬価:2026年4月以降、250は1瓶5,551.80円、500は1瓶6,189.70円。実際の自己負担額は保険負担割合などで変わる。
- 注意点:投与部位に悪性腫瘍がある場合や、その部位に悪性腫瘍の既往がある場合などは使用できない。市販薬ではなく、医師の処方が必要。
【フィブラストスプレーはどんな傷に使う?効果と適応を解説】
フィブラストスプレーは、科研製薬が製造販売する褥瘡・皮膚潰瘍治療剤です。2001年6月に販売が開始され、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を利用した創傷治癒促進剤として知られています。
PMDAの電子添文に記載されている効能・効果は、次のとおりです。
- 褥瘡(床ずれ)
- 皮膚潰瘍(熱傷潰瘍)
- 皮膚潰瘍(下腿潰瘍)
ここで重要なのは、単に皮膚に傷があるというだけで使用対象になるわけではない点です。傷の原因や深さ、感染の有無、壊死組織の状態などを踏まえ、医師が適応を判断します。
褥瘡(床ずれ)への効果
褥瘡は、同じ部位に圧力がかかり続けることで血流が悪化し、皮膚や皮下組織が損傷する状態です。寝たきりの患者や、長時間同じ姿勢で過ごす人などに発生することがあります。
フィブラストスプレーは、新しい血管の形成や肉芽組織の形成を促進し、傷の修復を助けます。ただし、褥瘡の治療では、薬剤だけでなく、体圧分散、体位変換、栄養管理、適切な創傷被覆なども欠かせません。
皮膚潰瘍・下腿潰瘍への効果
皮膚潰瘍は、皮膚の組織が損傷し、深い傷となった状態です。下腿潰瘍では、静脈や動脈の血流障害などが背景にある場合もあります。
こうした傷では、創面を清潔に保つだけでなく、治りにくさの原因を評価することが重要です。血流障害や感染などが関係している場合、フィブラストスプレーだけで原因を解決できるわけではありません。
熱傷への効果は?すべてのやけどに使えるわけではない
フィブラストスプレーの適応には、熱傷によって生じた皮膚潰瘍が含まれます。一方、PMDAの電子添文は、潰瘍が認められない熱傷については、ほかの適切な治療法を考慮するよう求めています。
国内の第III相比較試験では、104例を対象に4週間投与した結果、潰瘍の大きさや深さ、肉芽形成、表皮形成などを評価した「改善以上」の割合は全体で89.4%(93例/104例)でした。疾患別では、褥瘡80.6%(25例/31例)、熱傷潰瘍100%(41例/41例)、下腿潰瘍84.4%(27例/32例)と報告されています。
ただし、この試験で対象となった熱傷潰瘍は、受傷後およそ3週間以降の症例です。対象人数や評価条件が限られているため、あらゆるやけどで同じ結果が得られることを示すものではありません。新しい熱傷に自己判断で使用せず、医療機関で適切な処置を受けることが先決です。

【bFGFとトラフェルミンの仕組み】なぜ傷の治癒を促進できるのか
フィブラストスプレーの有効成分であるトラフェルミン(遺伝子組換え)は、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子、すなわちbFGFをもとにしたタンパク質製剤です。
bFGFは、傷を修復する過程に関わる成長因子の一つです。科研製薬の製品情報やPMDAの電子添文では、血管内皮細胞や線維芽細胞などに存在するFGF受容体に結合し、血管新生作用や肉芽形成促進作用を示すと説明されています。
傷の修復を支える3つの働き
- 血管新生の促進:傷の修復に必要な新しい血管が形成される過程を支える。
- 肉芽組織の形成促進:傷の底を埋めるように形成される組織の再生を促す。
- 創傷治癒の促進:肉芽形成や表皮形成など、傷が治っていく過程を支える。
こうした作用によって、フィブラストスプレーは褥瘡や皮膚潰瘍の治療に用いられます。ただし、殺菌剤や抗菌薬とは役割が異なります。PMDAの電子添文にも、本剤には抗菌作用がないと明記されています。感染がある場合は、感染症に対する適切な治療も必要です。
「成長因子だから安全に使える」とは限らない
細胞の増殖を促す作用は、傷の修復を支える一方で、使用部位に悪性腫瘍がある場合には問題になります。そのため、フィブラストスプレーには、投与部位に悪性腫瘍がある患者、またはその部位に悪性腫瘍の既往がある患者に対する禁忌が設定されています。
成長因子を利用する薬だからこそ、適応、使用部位、投与期間を守ることが大切です。傷が治りにくいからといって、自己判断で使用量や使用期間を増やすことは避けてください。
【フィブラストスプレー250と500を比較】薬価・費用はどう違う?
フィブラストスプレーには250と500の2規格があります。数字は1瓶に含まれる有効成分の総量を示しており、250には250μg、500には500μgのトラフェルミンが含まれています。
両製剤は、添付溶解液で溶かした後の濃度が同じです。250は2.5mL、500は5mLの溶解液が付属しているため、500のほうが総量は2倍ですが、濃度が2倍になるわけではありません。
| 比較項目 | フィブラストスプレー250 | フィブラストスプレー500 |
|---|---|---|
| 有効成分の総量 | 250μg | 500μg |
| 添付溶解液 | 2.5mL | 5mL |
| 溶解後の濃度 | 100μg/mL | 100μg/mL |
| 2026年4月以降の薬価 | 5,551.80円/瓶 | 6,189.70円/瓶 |
| 3割負担の場合の薬剤費の概算 | 約1,666円/瓶 | 約1,857円/瓶 |
薬価は厚生労働省の薬価基準に基づく2026年4月改定後の金額です。3割負担の金額は薬価に0.3を掛けた概算であり、実際の窓口負担には処置料や診察料などが加わる場合があります。年齢、所得、公費負担などによっても支払額は異なります。
500のほうが費用対効果に優れている?
薬価だけを見ると、500は250よりも1瓶当たりの価格が高い一方、有効成分の総量は2倍です。そのため、有効成分の総量当たりの薬価は500のほうが低くなっています。
しかし、実際の治療でどちらを使用するかは、薬剤の価格だけで決めるものではありません。患部の大きさ、必要な投与量、処方内容、溶解後の使用期限などを踏まえ、医師が適切な規格を選択します。
また、薬価は1瓶当たりの公定価格であり、1回の処置にかかる費用そのものではありません。処方された規格と使用方法を守り、価格だけを理由に規格を変更しないようにしましょう。

【フィブラストスプレーの使い方】噴霧方法・保存方法の注意点
フィブラストスプレーは、凍結乾燥品と添付溶解液からなる処方薬です。使用時に溶解液で溶かし、専用の噴霧器で潰瘍面に噴霧します。調製方法や使用方法は、処方医や医療スタッフの指示に従ってください。
基本的な用法・用量
PMDAの電子添文に記載された基本的な用法・用量は、次のとおりです。
- 添付溶解液1mL当たりトラフェルミン100μgとなるように溶解する。
- 潰瘍面を清拭し、洗浄または消毒した後、専用の噴霧器を使用する。
- 原則として1日1回、潰瘍面から約5cm離して5噴霧する。
- 潰瘍の最大径が6cm以内の場合、5噴霧でトラフェルミン30μgを投与する。
- 最大径が6cmを超える場合は、薬剤が患部全体に均一に届くよう、同様の操作を繰り返す。
1日の投与量は、トラフェルミンとして1,000μgを超えないよう定められています。噴霧器は約5cmの距離から噴霧した際に、直径約6cmの範囲に薬剤が広がるよう設計されています。自己判断で距離や噴霧回数を変更しないことが重要です。
他の軟膏や創傷被覆材と併用する場合
褥瘡や皮膚潰瘍の治療では、ほかの外用薬や創傷被覆材などを組み合わせることがあります。併用する薬剤や処置によって適切な順序が異なるため、医師や薬剤師に確認してください。
また、本剤は抗菌作用を持たないため、感染が生じた場合は抗菌薬などによる適切な治療が必要です。必要に応じて壊死組織の除去なども検討されます。
溶解後の保存期間にも注意
溶解後は10℃以下の冷暗所で保存し、2週間以内に使用することが電子添文で定められています。家庭用冷蔵庫での具体的な取り扱いや、調製後の管理については、処方元の医療機関や薬剤師に確認しましょう。
目に使用する薬ではありません。また、正常な皮膚に付着した薬剤は、脱脂綿などで拭き取るよう指示されています。使用後に気になる変化があれば、医療スタッフに相談してください。
【フィブラストスプレーの副作用・禁忌・相互作用】見落とせない安全上の注意
フィブラストスプレーは、傷の修復を促進する作用を持つ一方、副作用や使用上の制限があります。科研製薬の製品情報とPMDAの電子添文では、投与部位の症状、皮膚症状、肝機能検査値の変化などが記載されています。
主な副作用
- 投与部位の刺激感・疼痛:傷に刺激や痛みを感じることがある。
- 発赤:使用部位が赤くなることがある。
- 過剰肉芽組織:肉芽組織が過剰に形成されることがある。
- 滲出液の増多:傷から出る液体が増えることがある。
- 皮膚症状:発疹、接触皮膚炎、かゆみ、腫れなどが報告されている。
- 肝機能検査値の変化:ALTやASTの上昇が報告されている。
電子添文では、刺激感・疼痛、発赤、ALT上昇、AST上昇は2%未満、過剰肉芽組織や滲出液の増多などは頻度不明とされています。副作用の発現には個人差があります。症状が強い場合や、傷の状態が悪化したように見える場合は、使用を続けるかどうかを自己判断せず、医師に相談してください。
使用できない患者と慎重な判断が必要なケース
電子添文で禁忌とされているのは、次の患者です。
- 投与部位に悪性腫瘍がある患者、またはその部位に悪性腫瘍の既往歴がある患者
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある患者
投与部位以外に悪性腫瘍がある患者や、その既往歴がある患者については、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限り、慎重な投与が検討されます。
難治性の潰瘍では、悪性腫瘍が原因となっている可能性もあります。そのため、必要に応じて事前に生検などを行い、投与部位に悪性腫瘍がないことを確認するよう電子添文で求められています。
本剤には細胞増殖促進作用があり、非臨床試験では一部の腫瘍細胞の増殖促進作用などが報告されています。一方、代替となる動物試験では発がん性を示唆する所見は認められていません。ただし、長期のがん原性試験自体は実施されていないため、長期間漫然と投与しないことが注意事項として示されています。
2026年10月に公表された適正使用の注意喚起
2026年10月、科研製薬はフィブラストスプレーの適正使用に関する注意喚起を公表しました。顔面のしわや陥凹変形に対し、患者自身の血液由来の多血小板血漿(PRP)に本剤に含まれるbFGFを加えた混合物を注入した後、硬結や過剰な皮膚の隆起が生じた事例が報告されたためです。
同社の注意喚起では、日本美容外科学会(JSAPS)の会員向け調査で、細胞加工物や増殖因子製剤を用いた注入療法に伴う硬結・膨隆などの発現事例のうち、およそ4割がPRPとbFGFの混合注入によるものだったと紹介されています。この割合は報告された事例の内訳であり、治療を受けた人全体の発生率を示す数字ではありません。
フィブラストスプレーは外用薬であり、注射用の薬剤ではありません。顔のしわやくぼみに注入する使い方については、有効性と安全性が確立されていません。創傷治療の承認された用法・用量を守り、美容目的での自己判断による使用や注入は避けてください。
薬物相互作用・使用上の注意
PMDAの電子添文では、特定の併用薬について独立した相互作用の項目は設けられていません。ただし、これはあらゆる薬剤や処置との併用が無条件に安全であることを意味するものではありません。ほかの外用薬や創傷被覆材を使用している場合は、医師や薬剤師に伝え、適切な併用方法を確認しましょう。
妊娠中または妊娠している可能性がある女性では、治療上の有益性が危険性を上回る場合に限って投与を検討します。また、小児を対象とした有効性・安全性の臨床試験は実施されていません。患者の年齢や背景に応じた判断が必要です。
【フィブラストスプレーは市販薬で買える?】処方の必要性と受診の判断基準
2026年10月時点で、フィブラストスプレー250・500は医療用の処方箋医薬品です。一般用医薬品(市販薬)として販売されている製品ではなく、ドラッグストアで自由に購入して使うことはできません。
同じように「傷の治りを助ける」と説明される市販の軟膏や創傷被覆材があっても、トラフェルミンを含むフィブラストスプレーと同じ薬ではありません。作用や使用対象が異なるため、単純に代替できるとは限りません。
どのような場合に医療機関へ相談すべきか
- 床ずれが深くなっている、または改善しない。
- 足の傷が長期間治らず、血流障害などが疑われる。
- やけどによる皮膚の損傷が深い、範囲が広い、感染が疑われる。
- 傷から膿が出る、赤みや腫れが広がる、痛みが強くなる。
- 治療中に過剰な肉芽組織や滲出液の増加など、気になる変化がある。
傷の治療では、薬剤の選択だけでなく、原因の特定と適切な創傷管理が重要です。特に、深いやけどや感染が疑われる傷、長期間治らない潰瘍は、自己処置だけで経過をみないようにしましょう。
4週間使用しても改善しない場合は?
PMDAの電子添文では、本剤を約4週間投与しても、潰瘍の大きさや深さ、肉芽形成、肉芽の色調、表皮形成などに改善傾向が認められない場合、外科的療法などを考慮するよう記載されています。
これは、4週間経過したら必ず使用を中止するという意味ではありません。傷の状態を再評価し、治療方針の見直しが必要かどうかを医師が判断するための目安です。反対に、改善が乏しいからといって、投与量を増やしたり使用期間を延ばしたりすることも適切ではありません。
【フィブラストスプレー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:フィブラストスプレーは普通のやけどにも使えますか?
A1:適応は褥瘡と皮膚潰瘍で、その中に熱傷潰瘍が含まれます。潰瘍が認められない熱傷に対しては、ほかの適切な治療法を考慮するよう電子添文で定められています。やけどの状態に応じて医師が治療法を判断します。
Q2:フィブラストスプレー250と500は、どちらがよく効きますか?
A2:両製剤は溶解後の濃度が同じで、主な違いは有効成分の総量と溶解液の量です。500だから1回の投与で必ず強い効果が得られるというわけではありません。傷の大きさや処方内容に応じて規格が選ばれます。
Q3:フィブラストスプレーは市販薬として購入できますか?
A3:いいえ。2026年10月時点では処方箋医薬品であり、市販薬として自由に購入することはできません。傷の状態を診察してもらい、必要に応じて医師から処方を受ける薬です。
Q4:フィブラストスプレーの副作用で特に注意する症状は何ですか?
A4:投与部位の刺激感や痛み、発赤、過剰肉芽組織、滲出液の増多、発疹、かゆみなどに注意が必要です。症状が強い場合や傷が悪化したように見える場合は、医師に相談してください。また、投与部位の悪性腫瘍やその既往歴など、使用できない条件もあります。
まとめ:フィブラストスプレーを安全に使うための判断基準
フィブラストスプレーは、トラフェルミン(遺伝子組換え)の作用によって血管新生や肉芽形成を促し、褥瘡や皮膚潰瘍などの治癒を助ける医療用医薬品です。熱傷潰瘍にも適応がありますが、すべてのやけどに使用できるわけではありません。
250と500は有効成分の総量が異なる一方、溶解後の濃度は同じです。2026年4月以降の薬価は、それぞれ1瓶5,551.80円、6,189.70円。実際の自己負担額は保険の負担割合や診察・処置にかかる費用などによって変わります。
使用時には、専用噴霧器による適切な投与、感染への対応、溶解後の保存方法を守ることが欠かせません。特に、投与部位の悪性腫瘍やその既往歴に関する禁忌は重要です。2026年10月の科研製薬による注意喚起でも、承認された外用以外の使い方には重大なリスクがあることが示されています。
傷が治りにくい場合は、薬剤を増やしたり市販薬で代用したりするのではなく、原因と傷の状態を医療機関で評価してもらうことが大切です。処方された規格・用法を守り、改善が乏しい場合や副作用が疑われる場合は、医師と相談しながら治療方針を見直しましょう。 (出典: フィ ブラスト スプレー(Yahoo!ニュース))