スペーサーとは何?種類・役割・価格と失敗しない選び方を徹底解説【2026年版】
スペーサーとは、部品と部品の間に一定の隙間や距離を確保し、位置や高さを調整するための中間部品です。機械設備や電子機器の組み立てから、自動車、精密加工、鉄筋コンクリート工事まで幅広い分野で使われています。
ただし、スペーサーには金属製・樹脂製といった材質の違いだけでなく、リング型・C型・プレート型・丸型・六角型・ネジ型・中空型など、さまざまな形状があります。見た目が似ていても、固定方法や調整できる寸法、必要な強度は同じではありません。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 基本の役割:部品間の距離や高さを調整し、接触・干渉を防ぎながら位置関係を維持する。
- 種類の見分け方:リング型・C型・プレート型・シム型は調整方法、丸型・六角型・ネジ型は形状や固定方法に注目する。
- 選び方の基本:寸法・材質・荷重・使用環境・ねじ規格を確認し、価格だけでなく加工精度や耐久性も比較する。
【まず結論】スペーサーとは?仕組みと基本的な役割を解説
スペーサー(Spacer)は、英語の「space(空間)」に由来する名称です。文字どおり、物と物の間に空間をつくったり、既存の隙間を調整したりするために使用します。
代表的な使い方は、2枚の板の間に円筒形のスペーサーを挟み、ボルトで締結する方法です。スペーサーの長さによって板同士の距離が決まり、一定の間隔を保った状態で固定できます。
スペーサーが必要になる3つの理由
- 距離・高さの調整:部品同士の間隔を一定に保ち、組み立て時の位置ずれを抑える。
- 接触・干渉の防止:回転部品や電子基板などが周辺部品に接触するのを防ぐ。
- 荷重の支持と位置決め:部品間の距離を保ちながら、締結力や荷重を受ける構造をつくる。
例えば、電子機器の内部で基板をケースに直接取り付けると、基板裏面の部品や配線がケースに接触する可能性があります。そこでスペーサーを挟み、必要な高さを確保します。
機械設備では、ベアリングやシャフト周辺の位置関係を整えるために使用します。スペーサーの寸法が適切であれば、部品同士の不要な接触や組み立て時の位置ずれを抑えられます。
ワッシャーとスペーサーは何が違う?
ワッシャーとスペーサーは、どちらも部品の間に挟んで使用することがあります。しかし、一般的には主な役割が異なります。
ワッシャーは、ねじの座面を保護したり、締結荷重を分散したりする目的で使用されます。一方、スペーサーは部品間の距離や高さを確保することが主な目的です。
もっとも、厚みのあるワッシャーを部品間に挟めば、スペーサーと同様に距離の調整に利用できます。名称だけで用途を決めるのではなく、荷重、厚さ、精度、取り付け位置を確認することが大切です。

【形状・材質で比較】スペーサーの種類と役割を一覧で整理
スペーサーを選ぶ際は、まず形状と材質を分けて考えると整理しやすくなります。形状は取り付け方法や調整方法に関係し、材質は強度、重量、絶縁性、耐食性などに影響します。
| 種類 | 形状・主な役割 | メリット | 選定時の注意点 |
|---|---|---|---|
| リング型スペーサー | 中央に穴のあるリング状。軸やパイプ周辺の位置・隙間調整 | 軸周りの部品を囲む形で配置できる | 軸径、内径、外径、厚さを確認する |
| C型スペーサー | 一部が開いたリング状。軸の側面から挿入して調整 | 条件が合えば軸を端から抜かずに取り付けられる | 開口部の方向、脱落リスク、荷重を確認する |
| プレート型・シムスペーサー | 薄い板状。高さや隙間を微調整 | 薄い厚さ単位で精密な調整ができる | 厚さ公差、平面度、必要な耐荷重を確認する |
| 丸型スペーサー | 円筒状のカラー。部品間の距離を確保 | 形状がシンプルで幅広い用途に対応する | 内径・外径・全長・穴の仕様を確認する |
| 六角スペーサー | 六角柱状。ねじによる固定や基板の支持 | スパナなどの工具で回しやすい | ねじ径、ねじ長さ、対辺寸法を確認する |
| ネジスペーサー | おねじ・めねじなどを備えた支柱状 | 部品間の距離確保と締結を組み合わせられる | ねじの種類、かみ合い長さ、締結強度を確認する |
| 中空スペーサー | 中央に穴があり、内部にねじ山がない円筒状 | ボルトなどを通して部品間隔を確保できる | 穴径、肉厚、圧縮荷重、ボルトとの適合を確認する |
| 樹脂スペーサー | 樹脂製のカラーや支柱など | 軽量で、電気絶縁や接触面の保護に利用しやすい | 耐熱性、耐薬品性、クリープ、吸水性を確認する |
| コンクリート工事用スペーサー | 鉄筋と型枠などの間に設置する支持部材 | 鉄筋の位置を保持し、かぶり厚さを確保する | 設計寸法、設置数量、材質、施工条件を確認する |
リング型・C型・プレート型の違い
リング型とC型は、主に軸やパイプの周辺で位置や隙間を調整する際に使われます。リング型は閉じた形状であるため、軸に通して取り付ける構造に向いています。一方、C型は一部が開いているため、構造や取り付け条件が合えば、軸を分解せずに横から挿入できます。
プレート型は、軸の有無にかかわらず、平面同士の高さや隙間を調整する用途に適しています。特に薄い板状の部品は「シムスペーサー」や「シム」と呼ばれ、機械の精密調整に使われます。
製造業向けの金属加工情報を扱うMitsuri Mediaでは、名古屋発條工業株式会社の製作事例を交えながら、リング型・C型・プレート型・コの字型の使い分けを紹介しています。コの字型は、開口部ではC型のように、直線部分ではプレート型のように使える形状です。
金属スペーサーと樹脂スペーサーの違い
金属スペーサーは、剛性や強度が求められる機械部品、精密装置、締結部などに向いています。鉄、ステンレス、アルミニウム、黄銅など、材質によって重量、加工性、耐食性、電気伝導性が異なります。
例えば、ステンレスは耐食性が求められる環境で候補になります。アルミニウムは軽量化を重視する用途に適しています。ただし、金属であれば必ず高性能というわけではなく、荷重や使用環境に適合する材質を選ぶ必要があります。
樹脂スペーサーは、軽量性や電気絶縁性が必要な電子機器、基板、電装部品などで活用されます。金属と接触させたくない場所や、相手部品への傷を抑えたい場所にも適しています。
ただし、樹脂は種類によって耐熱温度や耐薬品性が大きく異なり、長期間荷重を受けると変形する場合もあります。樹脂製という理由だけで選ばず、使用温度、荷重、締め付け条件を確認しましょう。
【用途別に解説】機械・電子機器・鉄筋コンクリートでの使い方
同じスペーサーでも、使用する分野によって求められる機能は異なります。機械では寸法精度や荷重への対応、電子機器では絶縁性や実装スペース、建築では施工中の位置保持と耐久性が重要です。
機械設備・精密機器:位置や隙間を調整する
機械設備では、ベアリング、シャフト、ギア、プーリーなどの周辺で、部品同士の位置関係を整えるためにスペーサーを使用します。
例えば、回転軸に取り付ける部品の軸方向の位置を調整したい場合、カラーやリング型スペーサーを使用します。隙間をわずかに調整する必要がある場合は、シムスペーサーを追加する方法が考えられます。
ただし、回転部品ではスペーサーの厚さだけでなく、偏心、振れ、摩擦、発熱、締結状態も確認する必要があります。寸法が合っていても、組み付け後に異音や過大な抵抗が発生するなら、適切な選定とはいえません。
電子機器・プリント基板:絶縁と空間確保
電子機器では、プリント基板と筐体の間にスペーサーを配置し、基板の裏面や電子部品がケースに接触しないようにします。配線を通すスペースを確保したり、複数の基板を一定間隔で配置したりする用途にも使われます。
丸型や六角型のネジスペーサーは、基板をねじで固定しながら高さを確保したい場合に便利です。導電性を避けたい部分では樹脂製、剛性やねじによる固定を重視する部分では金属製など、必要な条件に応じて選択します。
特に注意したいのは、絶縁性と機械的な強度を混同しないことです。絶縁性に優れた材料でも、熱や荷重によって変形すれば、基板の位置保持に支障が出る可能性があります。
鉄筋コンクリート工事:かぶり厚さを確保する
コンクリート工事用スペーサーは、機械用の金属カラーとは役割も形状も異なります。鉄筋と型枠、または鉄筋と下地の間に配置し、コンクリート打設時に鉄筋が所定の位置からずれないように支えます。
重要なのが「かぶり厚さ」です。これは、コンクリート表面から最も外側にある鉄筋表面までの最短距離を指します。かぶり厚さが不足すると、鉄筋が水分や酸素などの影響を受けやすくなり、腐食やコンクリートの劣化につながるおそれがあります。
国土交通省の令和8年版「土木工事共通仕様書」では、設計図書に特別な定めがない場合、鉄筋のかぶりを確保するため、構造物の側面に1平方メートル当たり2個以上、底面に1平方メートル当たり4個以上のスペーサーを設置する規定があります。また、型枠に接するスペーサーには、原則として本体コンクリートと同等以上の品質を持つコンクリート製またはモルタル製を使用するよう定めています。
これらは当該仕様書の適用条件に基づく基準です。すべての建築・土木工事に一律で適用できる数字ではないため、実際の現場では設計図書、発注者の仕様書、適用される施工基準を優先して確認してください。

【失敗しない選び方】寸法・材質・強度・見分け方のチェックポイント
スペーサー選びでありがちな失敗は、外観や価格だけで判断し、必要な寸法や固定方法を見落とすことです。選定時には、次の順番で条件を整理すると、候補を絞り込みやすくなります。
1. 必要な寸法を測る
最初に確認するのは、部品間の距離、必要な厚さ、内径、外径、全長、穴径です。ねじ付きの場合は、ねじ径、ピッチ、おねじ・めねじの別、ねじの有効長さも確認します。
例えば、中空スペーサーをボルトに通す場合、内径が小さすぎると組み付けられず、大きすぎると位置決めが不安定になることがあります。外径や肉厚も、支持する部品や荷重に合わせる必要があります。
2. 調整したいのか、固定したいのかを決める
部品間の距離を確保してボルトで固定するなら、丸型・六角型・ネジ型などが候補です。軸周辺の隙間を調整するならリング型やC型、平面の高さを細かく調整するならプレート型やシムスペーサーが適しています。
シムは厚さを組み合わせて微調整できる反面、必要な精度や組み付け条件を把握しなければ、適切な位置を再現できません。高精度の機械では、単に厚みを足し引きするだけでなく、厚さ公差や平面度も確認しましょう。
3. 材質を使用環境に合わせる
- 強度・剛性を重視:荷重や締結条件に適合する金属製を検討する。
- 軽量化を重視:アルミニウムや適切な樹脂を候補にする。
- 電気絶縁を重視:必要な絶縁性能を満たす樹脂製などを選ぶ。
- 腐食対策を重視:ステンレスや適切な表面処理を検討する。
- 高温環境で使用:材質の耐熱温度と、荷重を受けたときの特性を確認する。
金属同士を組み合わせる場合は、異種金属接触による腐食にも注意が必要です。水分や塩分が存在する環境では、材質の組み合わせや表面処理によって耐久性が変わることがあります。
4. 取り付け後の状態まで確認する
スペーサーの仕様を決める際は、部品が実際に組み上がった状態を想定することが重要です。締め付けによる変形、振動による緩み、回転部品との干渉、熱膨張、メンテナンス時の取り外しやすさなども検討対象になります。
特に自動車のホイールスペーサーは、一般的な機械用スペーサーとは安全上の条件が異なります。ホイールやハブとの適合、締結部品、必要な強度を確認し、車両に適合しない製品や不適切な取り付けは避けてください。
【価格・費用と購入先】ミスミ Cナビ・名古屋発條工業・富田螺子を比較
スペーサーの価格は、材質、寸法、加工精度、表面処理、注文数量、特注の有無によって変わります。単純な形状の標準品と、ミクロン単位の精度が求められる特注シムでは、必要な加工や検査が異なるため、価格だけで比較するのは適切ではありません。
スペーサーの価格はどのくらい?
ミスミの金属スペーサー関連商品では、掲載例として、金属ワッシャーが税別160円、寸法指定タイプの金属ワッシャーが税別260円、金属カラーが税別210円の商品があります。これは特定の商品群の価格例であり、すべてのスペーサーに当てはまる相場ではありません。
実際の価格は、型番、寸法、数量、加工条件によって変わります。精密シムや特注品、特殊な表面処理を施した製品については、個別見積もりが必要になる場合があります。
購入費用を比較するときは、製品単価に加えて、最低注文数量、加工費、表面処理費、送料、納期、検査費用も確認しましょう。少量購入では標準品が有利でも、特殊寸法が必要な場合は特注品のほうが組み付けや追加加工の手間を減らせることがあります。
ミスミ Cナビ:寸法指定や部品調達を効率化したい場合
ミスミ Cナビは、図面作成に不慣れな人でも、画面上で寸法を指定しながら加工部品を手配できるサービスです。公式解説では、スペーサーの寸法を最小0.1mm単位から指定でき、価格・納期・図面を確認して注文に進める仕組みを紹介しています。
規格品では必要な寸法が見つからない場合や、設計・調達の手間を抑えたい場合に検討しやすい選択肢です。ただし、指定可能な寸法や材質、加工条件は製品やサービスの対象範囲によって異なるため、注文前に確認が必要です。
名古屋発條工業株式会社:精密シムや金属部品を検討する場合
名古屋発條工業株式会社は、シム・スペーサー、ばね、精密プレス部品などを製造する企業です。公式の会社案内では、精密プレスや研磨などの技術を活用した製品づくりを紹介しています。
精密な厚さ管理が必要なシムや、用途に合わせた金属スペーサーを検討する場合に、相談先の候補となります。見積もりを依頼する際は、材質、板厚、外形、穴位置、寸法公差、表面処理、必要数量を整理しておくと話が進めやすくなります。
富田螺子株式会社:ネジスペーサーや中空スペーサーを探す場合
富田螺子株式会社は、ねじ・ボルト類の販売を専門とし、スペーサーや特注品も取り扱っています。公式のスペーサー解説では、丸型両めねじ、六角おねじ・めねじ、中空スペーサー、シムスペーサーなどの形状と用途を紹介しています。
特に、中空スペーサーは中央にねじ山のない穴があるため、ボルトを通して部品間の距離を確保する用途に適しています。標準品で寸法が合わない場合には、規格外寸法の特注製作について相談する方法もあります。
なお、各社は同じ条件で価格を比較できるとは限りません。標準品の購入、精密シムの製作、特注カラーの調達では必要なサービスが異なるため、まず用途と仕様を決め、その条件に対応できる購入先を選ぶのが合理的です。

【スペーサーとは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:スペーサーとは、簡単にいうと何ですか?
A1:部品と部品の間に隙間や距離を確保するための部品です。高さや位置を調整したり、部品同士の接触を防いだり、一定の間隔を保った状態で固定したりするために使われます。
Q2:リング型とC型のスペーサーはどちらを選べばよいですか?
A2:軸に通して取り付けられ、閉じた形状で保持したい場合はリング型が候補です。軸を分解せず側面から挿入したい場合はC型が便利ですが、開口部からの脱落や荷重条件を確認してください。
Q3:スペーサーとシムスペーサーの違いは何ですか?
A3:スペーサーは部品間の距離を確保する部品の総称です。シムスペーサーは主に薄い板状で、機械の高さや隙間を細かく調整する用途に使われます。シムもスペーサーの一種です。
Q4:金属製と樹脂製はどちらがよいですか?
A4:強度や剛性を重視する場合は金属製、軽量性や電気絶縁性を重視する場合は樹脂製が候補になります。ただし、実際には耐熱性、耐食性、荷重、締め付け条件などを含めて判断する必要があります。
Q5:スペーサーの価格を左右する要素は何ですか?
A5:材質、寸法、加工精度、表面処理、注文数量、特注の有無などです。標準品は比較的調達しやすい一方、特殊寸法や高精度が必要な製品では加工費や検査費用が加わる場合があります。
Q6:コンクリート工事用スペーサーも、機械用と同じ考え方で選べますか?
A6:基本的な役割は間隔の確保ですが、選定条件は異なります。コンクリート工事では鉄筋のかぶり厚さ、設計図書、適用される施工仕様、設置数量、打設時の安定性などを確認し、現場に適した製品を選ぶ必要があります。
まとめ:用途と寸法を見極めて最適なスペーサーを選ぶ
スペーサーとは、部品間の隙間や距離を確保し、位置や高さを調整するための部品です。機械、電子機器、建築・土木など幅広い分野で使われていますが、形状や材質によって適した用途は異なります。
軸周辺の調整にはリング型やC型、平面の高さ調整にはプレート型やシムスペーサー、ねじによる固定には丸型・六角型のネジスペーサー、ボルトを通して間隔を確保する用途には中空スペーサーが候補になります。絶縁性や軽量性を求める場合は樹脂製、強度や剛性を重視する場合は用途に合った金属製を検討します。
購入先を選ぶ際は、寸法指定のしやすさを重視するならミスミ Cナビ、精密シムや金属加工を検討するなら名古屋発條工業株式会社、ねじ付き・中空スペーサーや特注品を探すなら富田螺子株式会社など、必要な製品とサービスに合わせて比較するとよいでしょう。
【プロの結論】スペーサー選びで最も大切なのは、形状や価格から先に決めるのではなく、「どの部品の間に、どの程度の距離を確保し、どのような荷重や環境に耐えさせるのか」を明確にすることです。寸法・材質・固定方法・使用環境の4点を整理すれば、過剰な仕様や選定ミスを避けやすくなります。精密機械や鉄筋コンクリートのように安全性や耐久性が問われる用途では、図面や適用基準に基づいて選定することが、長期的な品質と費用対効果につながります。 (出典: スペーサー と は(Yahoo!ニュース))